季節のメッセージ

主任司祭

四旬節をどう過ごすか

皆さん、2月22日の灰の水曜日から四旬節に入ります。 私たちは、この日から4月2日までの40日間に復活祭の準備をしていきます。 特に、イエスの苦しみを思いめぐらしながら生活していきます。四旬節は回心の時です。 それは私たちの心を憐れみ深い神に向け、まことの命に繋がらせていただき、恵みを受ける時です。

聖書を読むと、古代イスラエルの人々は神と自分たちとの関係を見直す特別な機会を設けていたことが分かります。 レビ記によると、そのような節目は形式化し一つの儀式となっていました。 神との関係が損なわれていることが分かると、その関係を修復しなくてはなりません。 『レビ記』16章を読むと、「贖罪の山羊」、つまり生贄として捧げられる山羊について書かれています。 まず、人々の犯した罪責を背負って、山羊一匹が屠られて神への礼拝のために捧げられます。 次にもう一匹の山羊が連れて来られます。人々はその山羊の頭の上に手を置いて犯した罪を告白します。 そして荒れ野に連れ出して追いやります。 この儀式にはたくみに絡み合った二つの意味が意図的に含まれています。 それは、謝罪の意を表明する決意と、罪を取り除く決意です。 これは、私たちの四旬節の過ごし方につながる伝統なのです。

四旬節を経て次第にイエスの受難、死、そして復活に近づこうとしていますが、 ここで聖パウロの書いた書簡から学びたいものがあります。 『ローマの教会への手紙』の中でパウロは説いています。 イエスが私たちの罪を背負い十字架の上で死に亡くなられたことにより、私たちの罪を贖ってくださったことを。 さらに復活されたことによって、私たちを罪から解放してくださったのだ、と。 つまりイエスを通じて、私たちと神との関係が取り戻されるのですね。 これと同じことを、私たちは毎回のミサの中で行い、参加し、祝別しています。 ミサの中で起きていることは、実は生贄であるということを今一度思い出しましょう。 それは、イエスを十字架の上に捧げるという生贄です。 聖別されたホスチアを見上げる時に、そこにおられるイエスは、実は私たちの罪を贖うために屠られる山羊と同じなのです。 イエスが私たちの罪を背負ってくださるので、私たちは神との関係を修復できたのだという喜びが湧くのです。

私たちは、すべての人間関係というものは「見直し」というものが必要だということを、 自分自身の経験から、また教会の歴史から知っています。 この見直しという過程を守るためには、勇気が必要です。また、自分自身に誠実でなくてはなりません。 四旬節の決まりを守ることは、祈りと内省のために時間を割くことです。そして自分自身の強みと弱みを知ること。 そこから、私たちのイエスとの関係を再生し、イエスとより密接な関係を築くことにつながるのです。

新しい人生にしていく機会は四旬節だけではなく、信者は一年間を通してイエスに倣って生きていきます。 しかし、四旬節はやはり特別です。イエスに倣って、次の5つの点を行動に移して生活することが大切です。

その一、祈りを大事にすること。その二、施しをすること。その三、罪に打ち勝つこと。 その四、信仰を深めること。その五、イエスに従って生活することです。

皆さん、私たちはご復活の恵みにふさわしくあずかることが出来るように、 この四旬節に、私たちが神との関係、そして隣人との関係を取り戻すことができますように。 祈り、節制し、愛のわざを行いましょう。

高宮教会 主任
クマール・ヴィンセント・プラビン神父

【これまでのメッセージ】
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